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誰もが親しめる一般的な料理でありながら、意外と知られていないのがお寿司の正しい食べ方。
普段は回転寿司で気兼ねなく食べているでも、いざ回らないお寿司屋さんに行ってみると、正しい作法やマナーがわからず戸惑ってしまうことがあるかもしれません。
今回はそんな方のために、醤油のつけ方や食べる順番など、寿司の正しい食べ方や基本マナーについてご紹介します。
箸で食べても手で食べてもOK
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お寿司の正しい食べ方は「手で食べること」だと思っている方は多いと思います。
特に回らないお寿司屋さんのような高級寿司では、手で食べることが本来のルールだと思っている方も多いのではないでしょうか?
手で食べるのが正解か、箸で食べても良いか、この結論は「どちらでもOK」。
高級なお寿司屋さんであっても、箸で食べて全然問題はありません。
「醤油をつけやすい」「手の方が美味しく感じる」というのであれば、手で食べれば良いですし、「箸の方が衛生的」「手を汚したくない」というのであれば、箸で食べれば良いです。
つまり、自分の食べたい方法で食べれば良いのです。
醤油の正しい使い方
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寿司を食べる時にはついつい醤油をつけすぎてしまいますが、これはあまり良くない食べ方。
醤油をつけすぎると魚本来の味が感じにくくなってしまうため、つけすぎないように少量を使うのが正しい食べ方です。
また、醤油皿には一度に大量に注がないことがマナー。
なくなったら少しずつ足していき、食べ終わった時に醤油皿の中に醤油がなくなるのがベストです。
食べ終わって帰る際に醤油皿に醤油がたっぷり残っている状態は、あまり良い食べ方とは言えません。
醤油はどうやってつける?
寿司に醤油をつける際は、シャリではなくネタにつけるのが正しい食べ方。
よくやってしまいがちな「シャリに醤油をつける」「ネタを外して醤油をつけてシャリに戻す」といった食べ方はマナー違反です。
シャリに醤油をつける人は多いですが、この方法だと醤油皿にご飯粒が散らかって見栄えが悪くなり、またシャリが醤油を吸いすぎて魚本来の味が感じられにくくなってしまいます。
一方、ネタとシャリを外してしまうのはお寿司の世界ではマナー違反とされています。
「寿司の上下をひっくり返し、ネタ部分に醤油をつける」、これが寿司の正しい食べ方。
ネタとシャリの味をしっかりと感じられるように、一度に使う醤油の量はできるだけ少なめにすることがベターです。
具体的な食べ方としては、手で食べる場合は、手で寿司をひっくり返してネタが下に来るようにして醤油をつけます。
また、箸で食べる場合は、一度皿の上で寿司を倒し、持ち直してネタが下に来るようにして醤油をつけます。
このように、醤油皿にご飯粒が落ちないように気をつけながら、ネタ部分に少量の醤油をつけて食べるのが正解です。
軍艦巻きの醤油のつけ方
軍艦巻きの場合は、ネタ部分に醤油をつけようとしてひっくり返してしまうと、ネタが溢れてしまいます。
軍艦巻きの正しい醤油のつけ方については、諸説があるようです。
よく言われるのが「ガリを使って醤油をネタ部分につける」方法。一旦ガリを醤油に浸して、それを刷毛のようにしてネタに醤油を塗るやり方です。
これは食べ方としては上品に見えますが、ガリの味が醤油の味と混ざってしまい、味を変えてしまう恐れがあります。
他にも「少量の醤油をネタ部分に垂らす」食べ方や「底部分のシャリ(海苔付近)に直接つけてOK」など、ネットなどでもいろいろな説がありますが、基本的にはどんなつけ方でもOK。
自分のお好みの方法で食べて大丈夫です。
きゅうりにが乗った軍艦巻きは、きゅうりだけに醤油をつける食べ方もOKです。
お寿司屋さんでのツウな食べ方
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食べる順番は決まっている?
回転寿司であっても、高級なお寿司屋さんであっても、この順番で食べなければいけないという明確なルールはありません。
自分の好きなものを好きな順番に食べても、マナー違反だとか、作法がなっていないということはないです。
ただ、一般的な寿司の食べ方として、「味の薄いもの→濃いもの」の順番で食べることが「粋な食べ方」とされています。
具体的には、タイやヒラメなどの白身魚に始まり、アジやコハダなど光りもの、マグロなどの赤身、ウニやイクラなどの味の濃いもの、穴子などのタレのついたものの順番で食べ、最後に巻物を食べる流れ。
巻物は最後に食べるのが本来の食べ方で、巻物を頼むのは「終わりの合図」、「そろそろ巻物にしようかな」はそろそろ帰ろうかなの意となります。
①白身魚(タイ、ヒラメなど)
②光りもの、酢締めのもの(アジ、コハダ、サバなど)
③赤身や貝類、味の濃いもの(マグロ、貝類、イクラ、ウニなど)
④ツメ(タレ)のもの(穴子、シャコ、うなぎなど)
⑤巻物(かんぴょう巻き、鉄火巻きなど)
また、寿司屋に入ったら寿司屋の腕を知るために、一番初めに玉子焼き(シャリの味がよくわかる)やコハダ(熟練度により味に差が出やすい)を食べるという人もいるようです。
ガリの食べ方(ガリは口直しに使う)
生姜を甘酢で漬けた「ガリ」。
もともとガリが寿司の付け合わせとして定着・普及した理由は、生姜に含まれる殺菌作用を期待してのことだそうです。
ガリを食べる本来の目的は「口直し」をすること。
味の濃いネタを食べた後などに、ガリを食べて口の中をリフレッシュすることで、次のネタの風味を正しく感じられるようにします。
よって、寿司を食べる合間に食べるのが基本的な食べ方です。
寿司げたは左から食べる
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回らないお寿司屋さんの「おまかせ10貫」など、寿司げたに乗って出てくるようなものは、左から食べるのがツウの食べ方。
寿司は白身などの味の薄いものから食べることが一般的ですが、「おまかせコース」の寿司げたに並んでいる順番は、職人さんが提供するベストな順番に並べられてるものです。
ただし、これはあくまで一般的な食べ方で、自分の好きな順番に自由に食べてもマナー違反にはなりません。
お寿司屋さんでのNGな食べ方
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お寿司の「嚙み切り」はNG
出てきたお寿司は一口で食べるのがマナー。
ネタとシャリを噛み切ってしまうのはマナー違反な食べ方です。
また、女性などでシャリの一部を残す人がいますが、これもお寿司屋さんのマナーとしてはNGとなります。
ネタとシャリを分けるのはNG
寿司はネタとシャリがセットになって一つのもの。
ネタとシャリを分けて食べることはマナー違反です。
また、醤油をつける時にネタだけ外して醤油をつけて戻す人がいますが、これも食べ方としてはNG。
醤油は前述のように、上下をひっくり返してネタ部分にのみつけるのが正しい食べ方です。
わさびは醤油に溶かさない
追加のわさびを使って寿司を食べたい方は、醤油に溶かさないことがマナー。
ネタの上にわさびを乗せて食べるのが正しい食べ方です。
わさびを醤油に溶かしてしまうと、醤油皿が汚れてしまいますし、わさびの味が強くなってしまい、ネタの香りや醤油の香りがわかりにくくなってしまいます。
たばこ・香水などニオイのきついものは控える
お寿司はとても繊細な食べ物。
旬の魚や貝などの香りや舌触りを楽しむ、粋な料理です。
そのため、細やかな風味をかき消してしまう、たばこや香水などのニオイのきついものは、他のお客の迷惑になるため控えるべき。
たとえ、たばこOKのお店であっても、できれば店内での喫煙は避けたほうが良いでしょう。
お寿司屋さんでの基本マナー
photo by Andi Fisher
出てきたものはすぐに食べる
お寿司は鮮度が命。
出てきたものをしばらくの間お皿や寿司げたに置いたまま、お酒を飲んだりおしゃべりをしたりすることは、あまり良い食べ方とは言えません。
出てきた寿司は新鮮なうちにすぐに食べる、これが正しい食べ方であり一番美味しく寿司を楽しめる食べ方です。
正しい箸の置き方
お寿司屋さんでの箸の置き方はもちろん「箸置き」に置くのが正解。
ただし、箸置きがない場合は注意が必要です。
まず寿司げたを箸置き替わりに使うことはマナー違反。寿司げたでなくても、お寿司が載っている皿には箸を乗せてはいけません。
醤油皿や取り皿に乗せるのはOK。ただし乗せるのは箸の先端部分だけです。
箸全体を乗せてしまうことは「渡し箸」と言って、「もうこれ以上いりません」の合図になるためマナーとしては NG。
一般的にも行儀が良くないとされています。
専門用語は使わない
お寿司屋さんでは「アガリ=お茶」「おあいそ=お会計」「ムラサキ=醤油」「ガリ=生姜」など、符牒(ふちょう/業界関係者にのみ通用する言葉の意)と呼ばれる専門用語が多く使われます。
これらの言葉はあくまで職人さんが使う隠語であって、そもそもお客が使うべきではないもの。
例えば「おあいそ」の語源は「お愛想」であり、店側視点から生まれた言葉です。
お寿司屋さんで専門用語を使うことが通ではなく、マナー間違いです。
おわりに
意外とあまり知られていない、お寿司屋さんのマナーと正しい食べ方。
あなたはいくつご存知でしたでしょうか?
細かいマナーや食べ方などを色々と書きましたが、やはり自分が美味しく食べれる方法が一番。
もちろん他のお客の迷惑にならないような方法で、自己流の食べ方を見つけてみてください。