AI(人工知能)とは結局何なんだ?5分でわかる、今さら聞けない意味や仕組み

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AI(人工知能)とは結局、何なんだろう?

近年、TVや新聞、ネットニュースなどで、盛んに取り上げられている人工知能(AI)。

何となくイメージはできても、実際にどういうものなのか、なかなか説明ができないのではないでしょうか?

今回は、これからますます注目を集めることが予想される人工知能(AI)について、その意味や仕組みについてわかりやすく解説します。

人工知能(AI)とは、結局何なんだ?

「人工知能」は「AI」と略されますが、これは「Artificial Intelligence」という英語を省略したもの。

Artificialは「人工的な」、 Intelligenceは「知能」という意味で、組み合わせると文字通り「人工知能」となります。

人工知能(AI)の定義は?

人工知能(AI)がどんなものかを知るために、まずは言葉の定義を確認しましょう。

人工知能は、一般的に「人間の知能や思考をコンピュータで人工的に表現したもの」というような言い方で定義されます。

実のところ、専門家の間ではその定義について意見が分かれており、明確には決まっていませんが、ニュースを読んだり、ビジネスの会話を話す上では、「AIは、人間の知能や思考をコンピュータで人工的に再現する技術である」という認識を持っておけば、問題なく通用するでしょう。

それでもまだ解りにくいようであれば、「人工知能とは、学習能力を持つコンピュータである」と理解をしておくと、イメージしやすいと思います。

人工知能とプログラムの違いは「学習能力」の有無

人工知能も、プログラマーがプログラミング言語を使って作っています。そういう点では、人工知能もプログラムの一種と言えます。

しかし、人工知能とただのプログラムでは大きな違いがあります。その違いとは、「学習能力」の有無。

例えば、工場などで決められた動作をする機械もプログラムで動いています。しかし、このような機械はプログラムで決められている動作しかできません。プログラムにない動作をしたければ、新しいプログラムを追加で組み込むしかないのです。

一方、人工知能の場合は異なります。人間のような学習能力がある人工知能は、プログラムにない動作であっても、自分で考えて行動することができるのです。

これが人工知能と通常のプログラムの大きな違いであり、まさに今様々な分野で人工知能が注目されている最大の理由なのです。

人工知能の「学習能力」とはどんなもの?

人工知能の研究が加速した背景には「機械学習」と「深層学習」の研究が進歩したということがあります。

ここからは、人工知能がより人間に近い判断をするために必要な学習能力について、詳しく解説していきます。

機械学習(Machine Learning)とは?

機械学習とは、多くのデータを反復して処理する中で、特定のパターンを見つけ出し、応用していく学習方法のこと。

例えば、青、白、黒の車の画像をそれぞれ「これは何色の車だ」という情報付きで大量にコンピュータに読み込ませ、「色に注目」という指示を与えておきます。

するとコンピュータがそれら大量の画像を学習し、パターンを理解していきます。

その上で、まだ読み込ませたことがない新たな画像を与えると、これまでの学習の結果から、「これは白い車だ」とコンピュータが判別できるようになります。

このように、人間が一つ一つ「これは何色の車の画像」ということ明確に教えなくても、コンピュータが過去に読み込んだ大量の画像から類推し、正しい結果を出すことができる。これが機械学習と呼ばれるものです。

深層学習(Deep Learning)とは?

一方、深層学習は機械学習と違い、人間が「着目点」を示さなくても、自分で学習し、着目点を見いだすことができます。

先ほどの例でいうと、車の「色に注目」という着目点を与えなくても、コンピュータが読み込まれた画像を元に「色が注目点だな」ということを自動的に見つけ出すことができます。

つまり、大量のデータを与えれば、人間が指示を出さなくても、どんどん賢くなっていく、これが深層学習と呼ばれるものです。

技術的には、人間の脳をモデル化した「ニュートラルネットワーク」と呼ばれるアルゴリズム(算法)を複数活用することで、コンピュータが自発的に特定のパターンを見つけ出せるようにしています。

この深層学習により、人工知能はより人間に近い判断ができるようになると言われており、人工知能を使ってできることの可能性は一気に広がっています。

ちなみに、「ディープラーニング」という言葉は、この深層学習を英語で言い換えたものです。

人工知能の種類

人工知能は、その性質よって分けられています。

一つは、特定の分野において、人間の知能を超えるような能力を持っているもの。もう一つは、様々な分野で広く能力を発揮することができる、より人間に近いものです。

特化型人工知能(Narrow AI)

特化型人工知能は、特定の分野において能力を発揮する人工知能です。一部の分野では、人間の知能を超える能力を持つ人工知能も既に存在しています。

例えば、将棋や囲碁の人工知能が人間に勝ったという話はよく知られています。また、株やFXの変動予測については、人間が推測するよりも正確に予測できる場合も少なくありません。

さらに身近なところでは、画像や音声認識などがあり、これらは実用化が始まっています。

このような特定の分野で人間により近い学習能力を持ち、場合によっては人間以上の正確性や予測能力を発揮する人工知能は「特化型人工知能」と呼ばれています。

汎用型人工知能(Artificial General Intelligence(AGI))

汎用型人工知能は特化型人工知能と違い、より多くの分野で人間のような思考力を持つものです。

イメージとしては、SF映画や小説に登場するような、人工知能を想像すると分かりやすいでしょう。

もちろん、これは定義としてあるだけで、人間と同等、あるいは上回るような知能を持ったAIは、まだ実現はできていません。

いずれの日にか、優秀な汎用型人工知能が現れ、人間と会話をしたり、人間に色々なことを教えてくれる日が来るかもしれません。

人工知能の歴史はこうして歩んできた

ここで、人工知能の歴史を少しだけ。

今では様々な分野での実用化が始まっている人工知能ですが、このような状況に至るまではもちろん困難の連続がありました。

過去を振り返れば、人工知能の研究が盛んに行われた時期もあれば、課題に直面し、研究が遅々として進まない時期もあったようです。

戦後の人工知能の開発には、3回のブームがあったと言われています。

1.1940年頃~1960年頃(第1次ブーム)

1956年「ダートマス会議」は、アメリカのジョン・マッカーシーによって「Artificial Intelligence(人工知能)」という言葉が初めて使われました。

それ以前からも人工知能に関するアイデアはあったようですが、一つの研究分野として「人工知能」というものが確立したのは、このときが最初であったと言われています。

2.1980年頃~1990年頃(第2次ブーム)

この頃には、専門的な情報を人工知能に与えることで一定の判断を下すことが可能となっており、人工知能が脚光を浴びます。

しかし、人間のような判断を下せるようになるためには、膨大な情報が必要。加えて、詳細なルールを人工知能に教える作業も必要となるため、人工知能の完成には途方もない時間と労力が必要になると思われていました。

3.現在(第3次ブーム)

近年は情報処理能力が飛躍的に向上したことに加えて、人工知能に必要となる膨大なデータを補完できる「ビッグデータ」が活用できるようになりました。

また、機械学習と深層学習に関する研究が進歩したことで、人工知能が何かを判断するために必要な「基準」を自ら生み出せるようになったのです。

これらを背景に、現在では人工知能の研究が加速し、実用化も進んできています。

人工知能がもたらす未来

人工知能は、とても身近な存在になりつつあります。

例えば、Googleで検索する際に音声で検索ができますが、これは音声認識に特化した人工知能。また、iPhoneなどに実装されているアップル社の「Siri」もよく知られた人工知能の一つです。

今後の人工知能の実用化としては、以下のような分野での活用が期待されています。

  • 高度な医療診断
  • 路線バスなどの自動運転
  • 緊急車両の最適な搬送ルート設定
  • 監視カメラ映像などからの犯罪発生の予兆分析
  • 不正アクセスなどの高度な検知

一方、人工知能の研究・実用化が進み、今後のさらなる期待が高まる中で、同じように盛り上がっているのが、人工知能がもたらすリスク。

一昔前のSF映画でたびたびモチーフとなっていた人工知能が支配する社会というものを、本気で警鐘する学者や経営者も増えてきています。

映画「マトリックス」の世界が現実になる?

1999年に公開されたアメリカ映画「マトリックス」は、AIが人類を支配した世界を映画いたものでした。

主人公が生きている世界は現実ではなく、実はコンピュータが作り上げた仮想現実だったという設定です。

公開当時は世紀末、また、インターネットの普及が急拡大していた時期であったため、この終末的な設定は大変大きな注目を集めましたが、その当時はまだ、「本当にコンピュータが人間を支配する時代が来るかもしれない」なんてことを想像できる人は少なかったのではないでしょうか。

しかしながら近年、人工知能の研究が進むにつれて、このような人工知能のもたらすネガテイブな未来がたびたび論じられるようになっています。

人工知能が自我を持つようになり、その人工知能と人間の戦いが起こる・・・。このような話は、これまではSF映画の中だけでの世界でしたが、テクノロジーが進化するにつれ、次第にありえないこともない将来として、論じられ始めています。

例えば、物理学者のホーキング博士も人工知能の危険性を警告したことがありますし、ビル・ゲイツ氏なども同様の意見を持っています。

事実、フェイスブックで研究されていた人工知能が、人間に理解できない文法を使った会話を始めたという話もあります。

これらの議論はまだ始まったばかりですが、進化が加速するにつれて、人工知能がもたらすリスクに関する議論も盛り上がっていくと思われます。

おわりに

第4次産業革命と言われるように、人工知能の実用化の進展と最先端テクノロジーの活用は、社会に大きな変化をもたらすと考えられています。

新聞などでは人工知能に関するニュースを見ない日はないほどですが、今回ご説明した内容が、これから人工知能に関心を持つきっかけになればと思います。