ビートルズの楽曲で描く異色のミュージカル映画「アクロス・ザ・ユニバース」

当ページのリンクには広告が含まれています。
1426173716_6535a2bf43_b

photo by Matt DeTurck

ビートルズの楽曲33曲で描かれた異色のミュージカル映画「アクロス・ザ・ユニバース」。2007年に制作され、当時ビートルズファンを中心に密かな話題となった作品です。

知らない人にとっては「ビートルズとミュージカル?」となかなかピンと来ないかもしれませんが、これがかなりの傑作。本国アメリカでは劇場公演が次々に拡大、しまいにはアカデミー賞やゴールデングローブ賞にもノミネートされるほどの話題作となりました。

今回は映画「アクロス・ザ・ユニバース」について、観たことがない人のためにその魅力についてご紹介します。

「ビートルズ×ミュージカル」で描く異色の青春映画

5984367806_1554cd9825_b

photo by Gleep!!

あまりイメージがわかないかもしれませんが、この映画は全編を通じて、ビートルズの代表的な楽曲33曲を用いたミュージカル形式によって描かれています。

リバプールから父親を捜しにアメリカへやってきた青年ジュード。彼は、自由な大学生のマックスに出会い、その妹ルーシーに恋をする。"If I Fell"や"Something"にのせて愛をささやきあう日々は、そう長くは続かなかった。−激動する1960年代、アメリカ。マックスはベトナム戦争に駆り立てられ、ジュードはルーシーとの恋に破れて、独りリバプールへ戻ってゆく。そんなジュードに、遠くから"Hey Jude"と歌い掛けるマックス。時代の荒波を越えて、ふたたび彼らがひとつになる日は来るのだろうか?(ソニー・ピクチャーズ

あらすじは上記の通り、イギリス・リバプールから父親を捜しにアメリカへやってきた青年ジュードが、自由奔放な大学生のマックスに出会い、その妹ルーシーに恋をするというもの。

ストーリーはとてもシンプルでありきたりな恋愛物語なのですが、この作品の魅力はもちろんそれだけではありません。

舞台はビートルズ全盛期の1960年代アメリカ。ベトナム戦争やその反戦運動が巻き起こり、時代に翻弄されていく主人公たちの姿や、当時盛り上がったカウンターカルチャーに傾倒し、アートやロックなどに熱中する自由奔放な若者たちの姿など、青春映画としての面白さがつまっています。

また、映像表現も高いクオリティ。各シーンで音楽に合わせた多彩な映像演出がされており、それだけでも十分楽しむことができます。

特に、当時流行したサイケデリック調の映像表現がとても印象強く、ミュージカル映画にありがちな単調さが一切ない内容になっています。

全て吹き替えなしの迫力ある歌声

3780123788_1c6a7fa42e_o

photo by Marco

やはり、ミュージカル映画であるこの作品の最大の魅力は「歌」。

出演者がそれぞれ歌うわけですが、その歌声は「すべて吹き替えなし」という徹底ぶり。

どの出演者もかなりの歌唱力があり、それぞれの個性を生かした歌声でビートルズの楽曲を完璧に歌いこなしています。

あくまで歌詞はビートルズのオリジナルですが、もともとビートルズの楽曲をもとにストーリーが作られていることもあり、面白いくらいに各シーンにマッチ。

曲と曲を繋ぎ合わせてできたストーリーが、独自の編曲や演出、歌い手の表現などにより、新たな世界観を作り上げるような構成になっています。

ビートルズの歌詞の魅力を再認識

1425280625_1a0ba3fde7_b

photo by Matt DeTurck

歌唱シーンの中では、楽曲の歌詞がそのまま台詞や情景描写として扱われるわけですが、そこで気付かされるのが、ビートルズの歌詞の素晴らしさ。

若者のストレートな言葉や、抽象的・歪曲的な表現、気の効いた言い回しなど、ビートルズの歌詞が持つ多彩な詩的表現を味わうことができます。

この作品を観た人の中には、映画の字幕を通じてその魅力を再認識した人も多いのではないでしょうか。

ビートルズの曲はカフェのBGMからTVCMまで、あらゆるところで流れているので普段はあまり意識しませんが、実は歌詞表現の豊かさも大きな魅力の一つ。

この映画を通じて歌詞に触れれば、あらためてその魅力に気付くことができます。

口コミで大反響

8278974936_3cb9a038b0_h

photo by javiera sofia

この映画は全米で23館の限定公開でスタートしましたが、その後口コミなどで反響が広がり964館まで拡大。日本でも期間限定公演やミニシアターなどを中心に公開されました。

また、第80回アカデミー賞の衣装デザイン賞、第65回ゴールデングローブ賞の作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)、第50回グラミー賞の最優秀サウンドトラック賞にノミネート。受賞とはなりませんでしたが大きな話題になりました。

さらに日本の映画館大賞「映画館スタッフが選ぶ、2008年に最もスクリーンで輝いた映画」の第39位に。日本ではそれほど大きな興行にはなりませんでしたが、ビートルズファンを中心にひそかな話題作となりました。

おわりに

ビートルズファンはもちろん、そうでない人にもぜひお勧めしたい作品。興味のある方はぜひご覧になっていただけると嬉しいです。