カンボジアとはどんな国?急発展の光と影が見えるアジアの最貧国

photo by Axel Drainville

東南アジアの中でも特に貧しい国の一つであり、過去は内戦や虐殺の歴史もあった「カンボジア」。

近年では経済発展が著しく、アンコール・ワットなどの歴史的建造物は、定番の観光スポットとして再注目されています。

同じ東南アジア諸国の中でも、タイやベトナム、シンガポールなどと比べると馴染みが薄く、イメージが湧きにくいかもしれません。

今回はそんなカンボジアについて、様々な視点からご紹介したいと思います。

カンボジアとはどんな国?

近年開発が進む、東南アジア最貧国

photo by Clay Gilliland

2015年のカンボジアの一人当たりの名目GDPは1,144ドル。

これは日本(32,478ドル)の3.5%程度しかなく、アジア全体で見ると25カ国中24位(最下位はネパール)。

カンボジアは未だアジアの最貧国の一つに位置付けられる国です。

一方、近年は経済成長が目まぐるしく、経済成長率はASEAN域内でも高い水準にあります。

長く内戦状態が続いていましたが、2000年代以降は経済が安定し始め、外国企業からの投資が一気に拡大しました。

photo by Axel Drainville

平均年齢25歳と若く安価な労働力があることを始め、外国企業が進出する際の外貨規制が少ない点、タイとベトナムの中間に位置するという地理的な優位性などが背景にあります。

今後も順調が経済発展が見込まれており、首都プノンペンではビルや商業施設、ホテルなどの目まぐるしい開発が進んでいます。

しかしながら、プノンペンにあっても、中心部から外に出るとゴミが道端に集積していたり、古ぼけた安アパートやバラックで暮らす人の姿が目につきます。

photo by jmbaud74

道路で走る車は高級な外国車が多いですが、歩道や町並みに目をやると、貧しい生活の風景が広がってきます。

また、地方の農村部などでは貧困の現状はさらに厳しく、満足な医療や教育を受けることができない現状が今でも続いています。

このように、経済成長期を迎えているカンボジアの影の部分として、未だ根強い貧困問題が残っています。

今、カンボジア旅行がおすすめな理由

東南アジア旅行というと、タイやシンガポール、マレーシアなどの人気が高いですが、カンボジア旅行を経験した旅行者の間ではカンボジアをおすすめする声は多いです。

アンコール・ワットなどの魅力的な観光スポットがあるということもありますが、他にもおすすめするポイントはたくさんあります。

親日国家であり、治安も改善傾向

photo by Maya-Anaïs Yataghène

カンボジアは親日国家であって、現在は治安も改善傾向にあると言われています。

過去は内戦などがあり、政情不安定のイメージが強いですが、当時と比べれば状況は大きく改善されています。
(外務省の海外安全ホームページによる評価は「レベル1:十分注意」となっています)

もちろん発展途上国ですので、夜の一人での出歩きは危険ですし、路上での盗難などにも注意は必要です。

また、道路は交通ルールがあってないようなものですので、路上を歩くことがあれば細心の注意を払う必要があります。

ドルが使えて、英語が通じる

photo by khrawlings

カンボジアの現地通貨はリエル(Riel)ですが、ドルが一般的に流通しており、基本的にどんな店でもドルで買い物をすることができます。

また、カタコトの英語が通じることが多いので、何となくの会話でも何とかコミュニケーションをとることができます。

タクシーやトゥクトゥクの運転手などへの道の依頼も、基本的に英語で行うのが一般的かと思います。

経済発展の光と影が見える

photo by jmbaud74

近年目まぐるしい経済発展が進んでいるカンボジアですが、都市ではビルや商業施設などの開発が進む一方、街を眺めると貧しい人たちの暮らしの風景も目につきます。

高級車を乗り回す人もいれば、路肩でボロボロの服を着た浮浪者もいるなど、異国の光と影の部分を感じ取ることができます。

また、カンボジアは平均年齢が25歳と若く、街の様子はどこかエネルギーに溢れています。

外国車の中に、無数のバイクが入り乱れる道路は、経済発展著しい東南アジアのイメージをそのまま目にすることができます。

首都プノンペン市街の様子と見どころ

プノンペン市街の風景

photo by Philip Brookes

一般的な人々の移動はバイクがメイン。

路面店の店先にはテントやパラソルをよく目にします。また、ロードサイドでは屋台が出ている場所もあります。

街全体で赤茶色の屋根の建物が多いのが、プノンペンの特徴です。

photo by Ashley

交通ルールはあまり守られておらず、道路は車、バイクが入り乱れる無法地帯な状態。

原付バイク2人乗りは当たり前で、中には3人、4人乗りをする強者も目にします。

路面店にはけばけばしいカラーの看板が連ねています。看板に使用されている言語はクメール語、英語、中国語など様々。

電信柱は無数の配線で蜘蛛の糸状態です。

独立記念塔

photo by Sébastien Bertrand

フランスからの独立を記念して作られた記念塔。交通量が多い道路に囲まれた位置にあり、芝生の公園の中に立っています。

カンボジアの他の建造物にもあるような茶色の独特の形状をした塔のような形をしています。

セントラルマーケット

photo by Ashley

プノンペンの観光地として有名な「セントラルマーケット」。

カンボジア最大級のマーケットで、雑貨や洋服、食品など様々なものが売られています。

値段は言い値のようなもので観光客は高値を言ってくるので交渉が必要。売っている商品には偽ブランド品と思われる怪しいものも。

オルセーマーケット

観光客はあまりいない、地元の庶民向けのマーケット。

建物の中は蒸し暑く、独特な臭気を放つ食べ物なども売られているため、異国情緒が満載。現地人向けの場所であるため、暮らしや食文化を実感することができます。

ただし盗難なども多いため、財布やスマホなどの貴重品はできるだけ目につかないようにしましょう。

カンボジア王宮

photo by 作者名

現在も実際に国王が住んでいる王宮。

その一部を見学することができ、豪華な庭園やきらびやかな建物を見て回ることができます。

短パンやミニスカート、ノースリーブ等での入場は禁止されています。

プノンペン国立博物館

photo by Clay Gilliland

仏像やヒンドゥー教の神像などを多数展示している国立博物館。

多くはアンコール遺跡から発掘されたもので、クメール様式の文化・芸術品を見ることができます。

カンボジア王宮のすぐ近くにあり、赤い建物が特徴的な観光スポットです。

トゥールスレン博物館

photo by Clay Gilliland

ポル・ポト政権下での拷問・虐殺の歴史を伝える博物館。

当時の収容施設で拷問のために使われた実際の道具や部屋などがそのまま展示されています。

カンボジアの凄惨な過去を教えてくれる有名な観光施設です。

カンボジアに関する基礎知識

古来より中国・インド間の海上交易の中継地として栄え、近代にはフランスの植民地となったカンボジアは、様々な地域の文化の影響を受けています。

以下、カンボジアに関する基礎知識をご紹介します。

カンボジアの民族構成

photo by ND Strupler

クメール人が約85%、ベトナム人、華人(中国系)がそれぞれ約5%、残りの約5%が少数民族(チャム族など)。

カンボジアの宗教

photo by Myjolnyr

カンボジアの国教は仏教(上座部仏教)。

有名なアンコールワットも仏教寺院で、もともとヒンドゥー教寺院として作られた施設が仏教寺院に改修されたものです。

他に、イスラム教徒である少数民族のチャム族がいます。

カンボジアの通貨

photo by aaron gilson

通貨の単位は「リエル(Riel)」。

ただしドルも一般的な通貨として流通しており、旅行の際はドルだけ持っておけばまず困ることはないです。

買い物の際は、ドルで支払いをし、1ドル以下のお釣りが出ればリエルでもらうのが一般的です。

カンボジアの言語

公用語はクメール語ですが、観光客や出張客が多いシェムリアップやプノンペンでは英語が通じる人が多いです。

空港やホテルのスタッフだとしっかりとした英語を話せる人がおり、タクシーやトゥクトゥクの運転手などには片言の英語を話す人も多いです。

元はフランスの植民地であったため、フランス語を話せる人も一部存在。他には中国語やベトナム語を話す人もいます。

時差と所要時間

photo by ken H

日本とカンボジアの時差は-2時間。

そのため、カンボジアに到着した時の時間は、日本と比べて2時間早い時間となるので、到着日は1日が長く感じるかもしれません。

カンボジアまでの所要時間としては、2016年9月より成田〜プノンペンまでの直行便が開通したことで、大きく短縮されました。直行便の飛行時間は約6時間30分程度とのことです。

気温と季節

photo by Andrea Hale

カンボジアは熱帯気候、モンスーン気候帯に属しており、一年を通じて高温多湿な気候が続く地域です。

季節は大きく雨季と乾季に分かれており、5月〜10月が雨季、11月〜4月が乾季となります。

一般には、雨が少なく遺跡散策などがしやすい乾季のシーズンの方が旅行人気が高くなりやすい時期です。

カンボジアの歴史

クメール王朝(アンコール王朝)の繁栄

photo by neil_mcgregor

カンボジアの起源は9〜15世紀に存在したクメール王朝だと言われています。

現在のカンボジアが位置する地域には、古くは1〜7世紀頃の扶南(ふなん)、その後7〜8世紀頃の真臘(しんろう)という古代国家があり、9世紀にクメール王朝(アンコール王朝)が樹立しました。

この王国は、現在のカンボジアの民族構成の約85%を占めるクメール人の国であり、ベトナムやタイなどの地域の勢力としばしば戦争をしつつ、この地で繁栄をしていきました。

photo by dsapiro12

もともとインド・中国の海上交易の中継地点として栄えていたこの地域では流通や交易が活発化し、宿駅や治水・灌漑・貯水などの社会インフラが作られていきました。

クメール王朝の時代には、建築や彫刻が盛んに行われ、数々のヒンドゥー教、仏教の寺院や神像が生まれました。これらはクメール文化と呼ばれています。

アンコール・ワットやアンコール・トムといった、現在でも人気の観光地となっている建築物はこの時代に誕生したものです。

フランスの植民地支配と独立

photo by Mild Delirium

13世紀頃からクメール王朝は次第に衰退し、15世紀には隣国のアユタヤ王朝の進行を受け、アンコールの地を失いました。その後は周辺地域の進行を受け、支配される時代が長らく続きます。

その後時は流れ、19世紀にヨーロッパの列強諸国が帝国主義時代に入ると、カンボジアはフランス帝国の保護国となり、当時のフランス領インドシナの一部となりました。

カンボジアはかつてはフランスの植民地だったのです。

フランス植民統治下のもと、首都プノンペンの街は整備されてゆき、道路などのインフラ建設が行われました。

また、現地のカンボジア人達はフランスからの植民地支配を受けることで、文化の面でも影響を受けることになりました。

都市部の年配者などにフランス語を話せる人が一部存在したり、パン食が盛んであったり、首都プノンペンに西洋的は建物があるなど、カンボジアでは現在も植民地時代の文化的な影響が残っています。

ポル・ポト独裁による悲劇

photo by Christian Haugen

カンボジアは第二次世界大戦中の日本軍の占領、戦後のフランスからの独立運動を経て、ついに1953年に独立を果たします。

しかしながら、隣国で繰り広げられるベトナム戦争の影響もあり、独立も体制長続きせず、1970年頃には国内は内戦状態となりました。

そんな中台頭したのが「クメール・ルージュ」と呼ばれる勢力です。その指導者ポル・ポトが実権を握ると、国名を民主カンプチア(1976年 – 1979年)に改め、カンボジアに歴史的な悲劇をもたらします。

photo by BRJ INC.

彼らが実行したのは「原始共産制社会」と呼ばれる極端な共産主義政策でした。

貨幣制度は廃止され、宗教も禁止。寺院などは破壊されました。国民は都市から農村へ強制移住させられ、共同農場にて強制労働をさせられたのです。

また、富裕層や知識人などは虐殺され、体制に従わない者もまた処刑されました。

度重なる虐殺や伝染病の蔓延、そして大規模な飢饉によってわずか数年の間に、約100万人が犠牲になったと言われています。この数は正確な数値が把握されておらず、犠牲者の数は約300万人であったという説もあります。

もし後者の説が正しければ、約600万人程度であった当時のカンボジアの人口の、半数近くが犠牲になったという計算になります。

photo by G.S. Matthews

現在でも、カンボジアの人口ピラミッドは、35歳以上の人口が極端に少なくなっています。

カンボジアの人口構成を見ると、ポル・ポト政権下のこの国にいかに大きな悲劇が起きたかを物語っています。

おわりに

カンボジアは過去の凄惨な歴史を乗り越えて経済発展を迎えている国であり、旅行で訪れれば、成長著しい東南アジアの空気を強く感じることができるとができると思います。

また、貧しい生活を送る現地の人々の暮らしを目にすれば、色々と考える機会になります。

これから東南アジア旅行を考えている人は、ぜひカンボジアを選択肢の一つに入れて見てはいかがでしょうか?

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